都市部に働きに出て数十年。郊外にマイホームを購入し、家族の生活基盤はすっかり実家から離れているという人も多いでしょう。
両親もいい歳になり、そろそろ相続の話もしないと……なんて考えているあなた。相続は必ずしもプラスの財産を贈与されるばかりではありません。
あなたがプラスと思っている実家の土地や建物は、実はマイナスの価値しかない「負動産」になっていることがあります。
負動産とは?
処分も活用もできない土地や建物
相続により贈与された土地や建物といった不動産は、大きな資産価値を持っていると思われがちですが、実際は価値を失っており、処分も活用もできないケースが増加しています。
なぜ不動産が処分も活用もできなくなってしまうのでしょうか。それには「資産価値の下落」と「売却の困難化」の2つの要因が影響しています。
資産価値の下落
都市部への人口集中にともない、東京・大阪・福岡といった大都市は年々地価が上昇していますが、反対に人口が減少し続けている地方の地価は大きく下落しています。
日本経済新聞が集計した首都圏近郊の地価変動率によれば、2018年における東京都都心の地価は軒並み上昇しているのに対し、茨城・埼玉・神奈川では下落傾向となっています。
出典:日本経済新聞電子版 広がる「負動産」 リスク回避の6カ条とは?
地価が下落する理由の一つに、人口の減少により地域の経済力が低下していることが挙げられます。あなた自身が住むつもりのない家や土地。商売に使うなり、誰かに貸し出すなりすることも考えることでしょう。
しかし経済力が大きく価値が下落した地域では、土地を活用して商売することも難しく、また借り手を探すことも難しいでしょう。
空き家の増加による売却の困難化
価値が著しく下がってしまった不動産は、売却も難しくなってきています。
総務省統計局「平成25年住宅・土地統計調査 特別集計」によれば、日本全国の空き家率は平成25年の時点で13.5%に上り、平成5年から20年間で3.7%も上昇しています。日本国内における空き家は日々増加し続けているのです。
出典:総務省統計局 平成25年住宅・土地統計調査 特別集計(確報)
相続した土地や建物を処分しようとしても、すでに周辺には空き家が多く存在している上、地域の人口が減少しているため、どんなに安くしても買い手を探すのは難しくなっています。
それなら相続だけして放置しておけばいいと考える人もいるでしょう。しかし残念ながら負動産には所持しているだけで発生する大きなデメリットがあるのです。
負動産を持ち続けることのデメリットは多数!
住まない家のために管理費を支払う必要あり!
誰も住んでいない家屋を放置しておくと、劣化による倒壊や、不審者のたまり場になるような問題が発生する恐れがあるため、何らかの管理をする必要がありますが、管理には費用が発生します。
建物を取り壊せば税金が6倍にアップ!
それならば「家が建っているから管理する必要があるなら、壊してしまえばいい」と考えるかもしれません。しかしその場合問題になるのが税金です。
不動産を所有している場合、その評価額に応じて「固定資産税」を払う必要があります。土地に対しても税金はかかりますが、住宅地用の土地の場合、規模に応じて正規の固定資産税額の1/3~1/6を払えばよいという「住宅用地の特例」が適用されます。
しかしこれには「住宅が建っている土地」という条件があるため、家屋を取り壊してしまうと特例の対象外となってしまい、正規の税額を払わなければなりません。
家屋が建っていれば管理費がかかり、無ければ税金がアップ。管理費からも税金からも逃れられない恐ろしい負動産。あなたの人生が苦しくなってしまう前に、どうにかして手放さないといけません。
そのためにもまずは専門家による査定をおこなってみることをおすすめします!