物件探しから契約まで、アナログで煩雑な手続きが多い不動産業界。業界では、顧客の負担減少と、業務の効率化が求められています。
「不動産テック」は、そんな不動産業界に改革をもたらすのでしょうか?
不動産テックとは?
不動産業界×テクノロジーで市場の活性化を狙う!
一般社団法人不動産テック協会によると、不動産テックは以下のように定義されています。
“不動産テック(Prop Tech、ReTech:Real Estate Techとも呼ぶ)とは、不動産×テクノロジーの略であり、テクノロジーの力によって、不動産に関わる業界課題や従来の商習慣を変えようとする価値や仕組みのこと。”
出典:不動産テック協会
次のグラフは、矢野経済研究所による不動産テックの市場規模推移と予測です。
2015年度には2481億円だった市場規模は、2018年度には約2倍の4613億円、2020年度には更に拡大し6267億円まで伸びることが予想されています。
ハイスピードで市場が拡大していることが分かりますね。
出典:株式会社矢野経済研究所 2017年度の不動産テック市場規模は前年度比24.3%増の3,818億円と推計 2020年度には2017年度比64.1%増の6,267億円に拡大すると予測
不動産×テクノロジーが実現すること
不動産テックの例としては、次のようなサービスが挙げられます。
- ウェブを通して物件の情報を提供するポータルサイトやプラットフォーム、マッチングサイトなど
- 顧客に物件を紹介する際、現地まで内見に行かなくてもVRで規模や空間を体感できるサービス
- ネットワーク接続を利用して、住宅などのセキュリティ管理や家電製品の管理ができるサービス
- ウェブのプラットフォームで出資を募集するクラウドファンディングの仕組みを不動産投資に利用したサービス
アナログな不動産業界に、最新テクノロジーを活用したサービスが参入しつつあります。
今後まだまだ増えそうな予感ですね。
カオスマップとは?
業界人が作成した業界地図
企業がジャンルごとに分類され、わかりやすい!
カオスマップとは、いわゆる業界地図のことを指します。業界に関わる企業や事業を、ジャンル別に網羅し、一覧化したものです。
不動産テック カオスマップは、一般社団法人不動産テック協会によって作成されています。2018年11月28日に更新され、現行のカオスマップは第4版となりました。
12の分野
カオスマップ掲載の基準として、不動産テックの分野は次の12に定義されています。
- AR・VR
- loT
- スペースシェアリング
- リフォーム・リノベーション
- 不動産情報
- 仲介業務支援
- 管理業務支援
- ローン・保証
- クラウドファンディング
- 価格可視化・査定
- マッチング
- 物件情報・メディア
2018年8月に作成された第3版までは、上記12の分野に区別されてはいたものの、明確な定義づけはありませんでした。
第4版への改定にともない新たに掲載ガイドラインが設定され、掲載の基準が設けられました。
ジャンルが複雑に絡み合ったサービスも、最も関連性の高い分野で掲載されることとなったのです。
不動産テック カオスマップ第4版の特徴は?
第4版では、第3版の約1.5倍となる263のサービスが掲載されました。
分野の定義と掲載ガイドラインを定めたことで、より多くのサービスの掲載が可能になったんですね。
しかし、まだ表に出てきていない不動産テックのサービスもあると言われています。今後の改定で、さらに掲載サービスが増加することが考えられそうです。
不動産テックベンチャーの例
どこからでもアクセスできる民泊サービス
空き家のリノベーション、VR技術の応用!
今後も莫大な伸びしろがあるとされる不動産テック。では、具体的にどのような企業やサービスがあるのでしょうか?
スペースシェアリングの「Airbnb(エアビーアンドビー)」
「Airbnb(エアビーアンドビー)」は、アメリカ発の民泊の仲介サービスです。ホームステイ型・丸貸し型が選択でき、世界中から検索・予約することができます。
出典:Airbnb パラチの一軒家貸切
空き部屋や空き家を改装し、民泊として貸し出すことのできる新しいプラットフォームとして注目されています。
電車広告に出てますね。#観光産業 にも、海外発サービスの攻勢がすごいです。#airbnb pic.twitter.com/iItXDVL6z0
— YanaBWarbler (@YWarbler) 2019年2月21日
不動産投資クラウドファンディングの「FANTAS funding(ファンタスファンディング)」
第4版から追加された「FANTAS funding(ファンタスファンディング)」。クラウドファンディング型の不動産投資サービスです。
出典:ファンタスファンディング
FANTAS fundingはとくに空き家再生プロジェクトが大きな柱となっており、社会貢献性の高さから人気の投資サービスとなっています。
AR・VRカテゴリの「VR内見™」
「VR内見™」は、VRを利用して店舗にいながら現地の物件を内見できるサービスです。
データ化された物件情報があれば、現地に行かなくても間取り空間や物件の雰囲気を体感することができ、業務の効率化や時間の短縮に注目されています。
出典:株式会社つなぐネットコミュニケーションズ VR内見™
QRコードから入ってVR内見。実際の内見には遠く及ばないものの、結構凄いかも。 pic.twitter.com/4khjJh72ra
— マターリ不動産⊂⌒っ´∀`)っ (@y_mamiya) 2019年1月30日
まとめ
これまでアナログな業界といわれてきた不動産業界。業界全体のITリテラシーは、高いとはいえません。今後、不動産テックはどんどん増加することが予想されます。
いっぽうで、エンドユーザーのニーズにそぐわなかったり業界に受け入れられなかったりして、リリースされても継続されないサービスもあるのが現状です。
不動産テックで不動産業界は変わっていくのか?今後の展開に期待です!